第178章

その考えがふと浮かんだ瞬間、大島莉理は首を振って打ち消した。田中尚哉は多少偏屈で、妙に根に持つところはある。だが、愚かな男ではない。

両グループが手を組んでプロジェクトを進めている以上、こちらも向こうも同じ船だ。世論が本当に手のつけられないほど燃え上がれば、星海グループだって無傷では済まない。

田中尚哉が少しでも頭を使える人間なら、こんな真似をするはずがない。

莉理は窓の外へ視線を投げ、胸の奥がずしりと沈むのを感じた。

今夜は……帰れそうにない。

父から電話が入る。

「まだ会社か? 迎えに行こうか」

「今日は残業。迎えはいらないよ。待たなくていいから、お母さんと先に寝て」

「...

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